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イーサリアムはガス代の問題で自滅なのか?をデータから読み解く
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- ジャバ・ザ・ハットリ
イーサリアム や NFT の周りで常に飛び交う言葉が「ガス代」。ガス代とは仮想通貨を使う時に発生する手数料のこと。
- ガス代が高いー!
- 今回の取り引きはガス代だけで 1 万円がとんだー!
とか。ツイッターで英語で「ガス代、イーサリアム」とか検索するとみんなの叫び声が次々と聞こえてくる。
イーサリアム のコアメンバーはもちろんそういう要望がたくさんあるのは把握していて、解決策は Eth2 で実施される予定。ただその実施は 2022 年の中頃に延期された。ETH を使う人はしばらくはこのガス代の問題に付き合わされる。しかも確実に 2022 年の中頃に解決される保証はない。また前回のように伸びるかもしれないし。
そんな時にイーサーキラーと呼ばれる、ガス代が安くで高速な取引が可能なプラットフォームが次々に出てきた。少し例を挙げると以下のがある。
- Solana
- Algorand
- Avalanche
どれも イーサリアム の欠点を見事にひっくり返す技術で登場し、それぞれ人気もある。そうなってくると イーサリアム を使っている人や投資をしている人は「イーサリアム はガス代の問題で自滅して、他のに取って代わってしまうのかな?」との疑問が出てくる。この疑問をデータから考えてみた。
注意)本ブログは投資を斡旋するものではなく、情報共有と学習の場です。投資判断は自己責任でしてください。
イーサリアム のガス代の歴史
このチャートは 2019 年から 2021 年 12 月までの イーサリアム のガス代の平均値の推移を示す。
データ元 bitinfocharts
2019 年から 2020 年 6 月ぐらいまではガス代はあっても数セントとか1ドル未満(120 円以下)だった。それが 2020 年 9 月に1度 10 ドル(1200 円)を超えて、それ以降はガタガタと上がりだし、ピーク時はガス代が 70 ドル(8000 円)の時もあった。現在は 40 ドルぐらいになっている。ちなみにこれは平均でしかない。トランザクションのタイミングと優先順位によっては100ドル超え(1 万円以上)も普通にあるし、払わされて文句を言ってる人がたくさん居る。
よほどの大金持ちでもないかぎり、「3000 円のモノ買うだけなのになんで 4000 円の手数料を払うんだよ!」って言いたくなる。
他のプラットフォームのガス代
2021 年 10 月に イーサリアム のガス代が 30 ドルだった時、他のがどのぐらいだったのかを示す表がこれ。
イーサリアム の創設者の一人が新たに作った Cardano は 0.38 ドル。Avalanche はさらに低くてわずか 0.03 ドル。Solana に至ってはわずか 0.00025 ドル。もう比較する桁が違いすぎる。
Solana に近年の人気がぶりにさらに拍車がかかってネットワークがどんどん巨大になっているが、イーサリアム のようにガス代が高騰したり、トランザクション時間が遅くなったりする様子は一切ない。元から低コストと高速取り引きがデザインされており、この点においてだけで言えば Solana が圧勝しているのは明らかだろう。
ここまでの問題だけを見れば「イーサリアム は遅くてムダに高いし、みんな他のプラットフォームに移ってしまったかな」と考えてもおかしくない。実際 Discord や Twitter ではそんな話題でもちきりだ。
データで見る イーサリアム の使われ方
ここからデータで イーサリアム の使われ方を見ていく。これは イーサリアム の誕生以来のユニークアドレス数の推移。
データ元 etherscan
データからユニークアドレスはずっと伸びていて、直近の数ヶ月だけを見てもその伸び率はさらに加速してる。つまりユニークアドレスは増え続けている。しかもかなりの数で。
では、イーサリアム が使われた回数はどうか。
データ元 theblockcrypto
みんながイーサリアムを使った回数はトランザクション数で示される。チャートの通り、それもずっと伸びっぱなし。
投資とかやってる人は値段のチャートを気にされるかもしれないが、ここではとりあげない。値段は様々な要素の結果でしかない。あくまで イーサリアム を使う人の数、使われた回数を重点的に見た。
これらの点から様々なデータを見て調べたが、どこをどう見ても イーサリアム の利用者と利用数は増え続けている。「多くの人が イーサリアム を辞めている」なんてデータは一切無い。
じゃあ Twitter や Discord で何度も聞かれる「ガス代高いー!もう イーサリアム はやめだー」の叫びの数々は一体なんなんだ?私なりの答えは次の章へ。
機関投資家のデータ
これは暗号通貨市場全体の統計にはなるが、機関投資家達の投資額を示している。
データ元 finoa-banking
2020 年四半期だけで見ても指数関数的な伸びを示している。暗号通貨市場で第2位の時価総額をほこる イーサリアム にだって、ここでかなりの金額が入っただろう。
こちらのデータはビットコインになるが投資額の 87%は機関投資家からとなっている。チャートを見ても明らかなのは市場がほぼ機関投資家からの投資で埋まっていること。
データ元 bitcoinke
そう。つまり今の イーサリアム のメインプレーヤーは機関投資家達なのだ。
じっくり考えて欲しい。巨額の資金を操つる機関投資家達が 40 ドル程度のガズ代を気にするか?絶対にない。
彼らは NFT にも参入している。何億円もかけて NFT を落札する彼らが 40 ドルのガス代を気にするか?絶対にない。(NFT マーケットプレイスの最大手である OpenSea の NFT は イーサリアム のプラットフォームを使っている)
結局、よく聞くガス代への不満というのは「4000 円そこらのお金があればなんか旨いもんでも食えるかなー?」とついつい考えてしまいがちな人達からの声でしかない。私もそうなのでついつい「イーサリアム はダメなのか?」と考えてしまう。しかしデータを紐解けばそんな人達が今の イーサリアム を引っ張っているのではない。メインプレーヤーはガス代なんて気にしてない機関投資家達だ。
ガス代問題はいつか Eth2 で解決される。解決までの間に イーサリアム の牙城がそう簡単に突き崩されることはなさそう、という予想だ。この仮説が正しければ「イーサリアム はこれからも伸び続ける」になる。
一応言っておくとイーサキラーと呼ばれるプラットフォームがダメとは思っていない。Solana の超高速、低コストの技術とプロジェクトも素晴らしい。なので用途とプロジェクト内容に合わせて イーサリアム と Solana などが共存する未来像を描いている。(この話はまた別のブログ記事で)
まとめ
一連の調査の中で実感したのは暗号通貨の透明性。すべてのトランザクションは可視化されデータもなにもかもが誰からも見える状態になっている。暗号通貨だからこそできるのだ。
これがもしどこかの企業の会計調査だったらそんな訳にいかない。有価証券報告書にしてもいちいちその情報が正しいのかどうか監査が入るし、コストもかかってタイミングも遅れる。
そんなことからも暗号通貨が単なる投資の道具だけではなく、世の中をより面白い方向へと導くテクノロジーであることを実感する。これからも暗号通貨とブロックチェーンを調べてブログにするつもり。
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