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ピクサーで働く人達をYouTubeで観て「仕事はこうでないとあかんな」と思った
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- ジャバ・ザ・ハットリ
世界一の CG アニメーションスタジオであるピクサーで働く人達を YouTube で観ると不思議なぐらいにその熱量を感じとることができる。いろんな会社の中を YouTube で観るのが好きで結構観ている。どんな会社でも自社のいいところだけ切り取って出してるんだろうけど、なぜかピクサーだけは別格に感じる。
こんなに働く人達の熱量をビシビシ感じる会社ってなかなか無い。このブログでいくつか動画を紹介するのでもしよかったら観てみてください。あなたの仕事への情熱を再び呼び起こすかもしれない。
いつかピクサー本社に行ってみたい。
ピクサーの仕事の醍醐味
Danielle Feinberg は撮影照明監督(フォトグラフィー・ライティング・ダイレクター)。とあるユーチューバーがピクサー社内を見学した動画があって、その一部に彼女が出ていた。彼女が語る仕事の醍醐味が素晴らしいので意訳した。
以下 Feinberg が話した内容の意訳 >>>>
ここでは撮影照明監督(フォトグラフィー・ライティング・ダイレクター)をやってるの。私がピクサーに入ったのはまだ初期の頃でほとんど誰もトイ・ストーリーをピクサーが作ったなんて知らなくてね。ただ「コンピュータグラフィックスの技術を人を感動させるアートに転換するところ」に魅力を感じて入った。
「ファインディング・ニモ」を作ってた時にちょうど昇格があったのね。でも昇格した後のポジションって給料は上がっても私がやりたいことじゃなかった。CG 照明技術に関わらないし、人をマネージメントしないといけなかった。とにかく私はあの時、クラゲのライティングがやりたくて仕方がなかった。
バカみたいな発言だけど『昇格を受け入れてもいいけど、条件があってクラゲのライティングをやらせてくれること。いい?』って言ったわ。
あの時はいつも夜7時になったらマネージメントの仕事を終えて、クラゲのライティング作業にかかってた。夜遅くまでね。でもちっとも疲れなかった。たまらなくやりたかったことだったし。
それはすごい複雑系のかたまりでね。水のゆらぎから出る光と影、クラゲの透明な局面に反射する光と透過する光、精神を極度に消耗してしまうぐらいの複雑さと美しさが混ざったシーンだった。
ピクサーでは各パートの映像ができたらスクリーンルームで映像を流して主要なメンバー50人ぐらいに観てもらうのね。何回もやってることで、だいたいは観た後に監督がコメントして「あーいいねー。よくやったよ。それじゃあ、こことあそこを修正してくれるかな?いつもありがとう」って感じ。
私があのクラゲのシーンをスクリーンルームでみんなに観てもらった時。映像が流れ終わって、部屋が明るくなったのにすごい静寂だった。誰も何も言わないし、ただ黙ってみんな座ってるのね。「え?なに?なんかやらかした??」って思ってたら 監督が静かに拍手して、またもうひとりが拍手して、どんどんその拍手が大きくなって、最後はその部屋に居たアートダイレクターも、プロダクション・デザイナーも編集者達も全員がすごい拍手してくれた。みんな次々にシーンの出来栄えを手放しに褒め称えてくれてね。
あの瞬間はまさに「ああ!映画を作ってる!」って体で感じた瞬間。何者にも代えがたい瞬間よね。あれを感じる瞬間が一番好き。そのためにここで働いてるのよ。
->>> 意訳終わり
_© Disney / Pixar /Finding Nemo _
確かにそう言われてから改めてクラゲのシーンを確認するとすごい光の量で他では見たことないような美しいアニメーションになってる。
元ネタの YouTube
みんなオフィスの中を勝手に改造する
ディズニー公式 YouTube チャネルで現役でアニメーションモデラーとして働く社員のニックがピクサーの中を紹介している動画があった。その中のひとこまを意訳した。
元ネタの YouTube
ニック「ここはアニメーション部のオフィスでちょっと変わってるでしょう。ジャングルとか、なぜか木の扉もあるし。これらは全て従業員が勝手に仕事の空き時間にオフィスを改造してしまったんだ。
じゃあちょっとサイモンとケイシーの部屋を覗いてみようか」
(部屋に入る。)
ニック「 ご覧のようにここは航空機の格納庫になってるんだ。」
ニック「君等のどっちのアイデアでこんな風にしたの?」
サイモン「どっちもだよ。1年ぐらいかかったかな。南米に墜落した飛行機っていうテーマなんだ。ジャングルの中にいるみたいだろ。あそこにクールな虫もいるよ。」
今の勤め先でもわりと自分のデスクや仕事場を好きに改造する人は居るけど、さすがにここまでのは見たことない。正直に言うとここまでやる意味がよく分からない。でもこういうのが創造性の元になったりするのかなーと思ったり。
イマジネーションはまずリサーチから
ピクサーのアートダイレクターである Ralph Eggleston がPixar 社内見学 YouTubeでイマジネーションの源であるリサーチについて面白い話をしていたので意訳した。
以下 Eggleston 氏が話した内容の意訳 >>>>
ガキの頃からたくさんのアニメーションを自分で作ってた。小学校6年生の時に California Institute of the Arts(アメリカの芸術系大学のトップ校)のことを聞いたんだ。その時「あーこれだ!」って思って、その学校に行った。その後は 1992 年にジョン・ラセターが最初のトイ・ストーリーを作るために誘ってくれてピクサーに入ったんだ。
この仕事の一番おもしろいところはリサーチして、そのエッセンスをヴィジュアルに落とし込むところ。まずキャラクターから出発して、その他は後から付いてくる。デザインのためのデザインでは人を惹き付けることはできないんだ。いつも出発点はキャラクターから。そのキャラクターを深く理解するにリサーチが要るんだ。
自分の中の経験だけではいい絵は描けない。まずはリサーチ。ウォーリーを作るためにたくさんの宇宙船を見て実際に入って見学させてもらったよ。それともちろんゴミ捨て場もね。たくさんのゴミ捨て場を嫌になるぐらいに見てまわったよ。そうやって丹念にリサーチすることで、どうすればいいのかが掴めてくるんだ。
_© Disney / Pixar /WALL•E _
リサーチを楽しむこと。なにかに興味を持ったらとにかく研究するんだ。実際に行ってもいいし、その分野の本を読んだり、ネットで調べたりして自分のものにするんだ。
ほとんどの人は自分の小さな経験を元にした世界にとどまってしまってる。それはもったいないよ。「イマジネーションは無限」って思うかもしれないけれど、全てが心の中だけで完結することはないんだ。まずは自分の殻を打ち破って、自分で違う世界を見に行かないとね。
->> 意訳終わり
なぜかみんなの目が輝いている
YouTube を観てると感じるのが、なぜかピクサーで働く人達の目はキラキラしていること。世界最高峰の CG アニメ現場だし、当然彼らはエリートで厳しい競争を勝ち抜いてきた人達。でもなぜか「生き馬の目を抜くビジネス業界をサバイブしてきました!」って感じのギラツキ感が無い。作ってる製品自体が夢のあるものだからってのもあるが、とにかくただ純粋に輝いて見える。
そういう人達の様子を YouTube 越しに観ただけでも、自分の仕事を振り返って考えてしまう。「どうせ仕事するなら楽しい方がいい、全力でした方がいい」とかそういうことなんだけど、他人から説教みたいに言われたら「おせっかいなこと言うなー。ほっといてくれよ」となってしまう。
ピクサーで働く人達はそんなこと言わずにただ情熱を持って自分の仕事をしているだけのようだ。
そんな様子を観るとこちらも感化されてしまう。現代の仕事は、
- 楽しんで遊んでるように仕事する人にはますますお金と面白い企画が集まる
- つらい仕事を耐えながらイヤイヤやってる人にはお金も面白みも集まらない
となっているようだ。
これからの仕事感について考えさせる動画だった。
オススメです。