ジャバ・ザ・ハットリ
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同僚のド下手なダンスが「自意識から開放されてる奴は最強」を教えてくれた

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今の勤め先のベルリンのスタートアップでは毎週金曜の夕方5時に全社員が1箇所に集まって CEO から「おーい。みんなありがとう。実はなー」と会社の数字などの話を10分ほどしている。

言いたいのはその CEO の話ではなく、同僚のフランス人データアナリストの V のこと。V はデータアナリストという数字を扱うポジションなのに調子のいいことばっかり言う男で、ファッションもやたらカッコつけてて緑のメガネをしたりしてる。イギリスのコメディアンの Alan Carr にそっくりだな、と思っているがそんなこと言ったらまたごちゃごちゃと余計な話を聞かされそうなのであえて言ってない。

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とにかくその金曜の夕方の出来事。CEO が発表してた内容に変なタイミングで、しかもまだ話も終わってないのに V が「Awesome!」とか言ってパチパチパチっとひとりで拍手をしだした。拍手ってのは同時にその場の人達全員がするものだが、その時は V たったひとり。さすがに気まずく思ったのか「oh, sorry.」とか言って謝っていた。

それを見た CEO が助け舟を出して「いや、変なタイミングだったけど私の話をそんなにポジティブに受け取ってくれて嬉しいよ。ありがとう」とか言ったのね。

そしたらまた例の V が調子にのって、その場で踊りだした。変な踊り。マイケル・ジャクソンをマネてるのは分かるけど、実際のマイケルとは天と地ほどの差。めっちゃヘタ。正直、見てるだけで変な汗が出てくるし、オレはなんか目をそむけてしまったわ。寒々しくて見てられない。まわりからも乾いた笑いがもれてるし。

拍手の件で助け舟を出した CEO も踊りはちょっと唖然として静観してしまってた。

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そしたら V がやったのね。「ヒーヒー!」ってマイケルの叫び声みたいなのを。

さすがに声の音量はそこまで大きくなかったし、集まってた場所は大きい部屋だったから V から遠い場所に居た人には聞こえてなかったかもしれないが私はハッキリと「ヒーヒー!」って聞いた。ヘタクソだったけどアレは確実にマイケルのつもりだった。そして CEO にも聞こえてるのが分かった。

静まり返った部屋で次に出てきた言葉が CEO の「Ok. Next! As I said …」ってなにごとも無かったかのように仕事内容の発表を続けた。もうその場にいた人達全員がマイケルのマネは無かったことにして流してしまおう、と一致団結した。

一連の出来事を通じて今まであんまり V と関わりのなかった社員達にとっては「V はヤバい奴」フラグが立ちまくったと思う。

でも正直に言うとこの瞬間、私にとって V は会社内で最も尊敬すべき人達の中のひとりになった。

普段から V は自意識から限りなく自由だ。「人からどう思われるか」などという愚問が彼の中には無い。こころに感じたままを生きている。よく分からないが突発的にでも拍手がしたくなったのだろう。そしてヘタでもマイケルがやりたかったのだろう。

彼はやる。周りの空気などお構いなしにやる。

これからの世の中を生きる上で周りの目ばっかり気にしてなにもやりたいことができない人は不幸になる一方だ。それにひきかえ V のような自意識から開放されている人は最強。

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村上春樹の小説の主人公みたいに「ボクは、」「ボクは、」とグチャグチャ自分のことばーっかり言ってる奴より、カッコ悪くても V のように行動して恥をさらしまくる奴の方が1周回った上での好感度は高い。(パッと見の好感度は残念ながら低い)

すまない V。私には勇気がなくて君のド下手なマイケルのマネにノッてあげることができなかった。でも君のそのたくましく生きる姿勢にだけは感動した。君のようなスベり王になるのはまっぴらごめんだが、その姿勢には敬意を表するよ。

ココロのリミッターをもっと外していろんなことに挑戦しようと思った。SNS 上でもこのブログでも開発アプリでも、もっとやる。

そして「こんなことやったら恥ずかしいかも」なんてヘタレな考えがよぎったら、あのド下手で寒々しい V の踊りを思い起こして自分を勇気付けることにした。

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