ジャバ・ザ・ハットリ
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重大なシステム障害時における心構えをイタリア人エンジニアから学んだ。自信を持って笑ってるヤツは強い

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緊張する重大な局面ほどその人の本性が垣間見れる、ということで「重大なシステム障害時における心構え」というものを同僚のイタリア人エンジニアの D から学んだ、という話。

現在の勤め先のベルリンの IT スタートアップのエンジニアチームは全員の国籍が異なる多国籍チームのため、いろんな出来事のリアクションやらが妙に異なることが多い。同僚の D はイタリア人で映画スパイダーマン(サム・ライミの方)のハリーを演じていたジェームズ・フランコ似のイケメン野郎だ。

(ジェームズ・フランコってこれ)

Vanity Fair [Italy] No. 36 2013 (単号)
Vanity Fair [Italy] No. 36 2013 (単号)
出版社/メーカー: Edizioni Condenast S.p.A.
発売日: 2013/10/01
メディア: 雑誌

Dはいつ見ても陽気に笑っているし、なんか調子がよくてよくしゃべる。

先日その D の担当する箇所から問題が出た。問題が発覚したのは社内ではちょっと有名な女のクレーマー客のひとりからのメールだった。その客からのメールがこんな感じだった。

「おたくのウェブサービスを使っていたら今回という今回は本当に残念なことがありました。ボタンをクリックしたら見たことも無い他の客の名前やメールアドレスが出てきました!どういうことですか?これは他の客にもあたしの決済情報とか筒抜けになってて見れるってことじゃないの?!情報漏えいヨ!どうしてくれるのよ!」

問題の内容もイヤな内容だが、よりによって第一発見者がこのクソ客とは運が悪いなー、という感じだった。それを知ったのは朝で何人かのエンジニアが集まって話し合い、ちょっと陰鬱な空気になっていた。そしてどう考えてもこの該当コードを書いたのは D だった。その時 D はまだ出社していなかった。

その後、30分ぐらいしてまだ何も知らない D が「チャオ」とか言いながら、さっそうとオフィスに現れた。みんなが問題の内容と例のクソ客について説明した。すると D は例のジェームズ・フランコみたいな笑顔でしかも机を叩いて笑ってこう言ったのだ。

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D「あっはっは!あのクソ客が情報漏洩だって吠えてんのー!?最高だな!例によってあの客とはなー!ひゃっはっはー!」 )他一同「。。。」

それまで深刻に問題について話し合っていた他一同はバカらしくなって、しばらくの沈黙の後、D につられて一緒に笑ってしまった。
シリアスな状況の中でその原因を作ったかもしれない当事者にこんな笑顔で笑い飛ばされた時の気分をご想像いただけるだろうか?

そうなのだ。深刻に話し合ったところで何も解決しないし、気分が滅入るだけだ。普通に考えて決済情報を自社で管理するようなサービスなんて作らないし、その客が言うような情報漏洩なんてありえない。結局 D がキャッシュと CDN の不具合を見つけて修正した。

普段の D を見ていて、ヘラヘラ笑ってはいても誰もが D の技術力に信頼を置いていた。今回の問題は D に言えばきっと解決するだろうし、他のエンジニアが無駄に手出しをするよりも、D に頼むのが最も手っ取り早く解決するのは誰もが分かっていた。

そういう信頼というのは問題に直面した際の態度にも出るな、と感じた。もし D に問題を報告した際に D がさも申し訳なさそうに(彼の性格からありえないが)「すっ、、すみません。。」なんて言ってたらこっちも余計に不安になって D のコードを手分けして見直していたかもしれない。

誰だってそうだが、D にも仕事に限らずいろんな問題に遭遇することがあると思う。カノジョに浮気がバレたり、車を壁にぶつけたり、注文したピッツァが不味かったり。そんな時に D は例の堂々とした態度で、たまには笑い飛ばして解決しているのだろう。全部がうまくいかなくても、そういう堂々とした態度は重要だと思う。

誰でも頼み事があった時にビクビクしたヤツには頼みたくない。堂々として信頼のおける人にこそ頼みたい。エンジニアである以上、信頼というのは基本は技術力によるものだ。しかしそれだけではなく普段の態度も意外と重要だ。どんなに技術力が優れていても態度が堂々としていないと不安になってしまう。逆に堂々としているとなにかと重要な頼み事が舞い込んで来て、そういう重要事項をこなす内に経験値も上がって本当の技術力も付いてくる。

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とにかく「自信を持って笑ってるヤツは強い」そう感じた1件だった。

それともうひとつ。バグを作ったヤツが笑うのは場合によっては周りの怒りを買う行為にもなる。「てめーバグ作ってなに笑ってんだよ、このボケ」と。しかし D はその独特のキャラで切り抜ける術を身に着けている。
キャラが合ってない人が問題に直面した際に笑い飛ばしてごまかそうとするのは決しておすすめしない。だいたい日本人の私は D のように重大バグをイタリア風に笑い飛ばすことなんてできないし。