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エンジニアの技術力とプロジェクトのヒット率の悲しい相関性
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- ジャバ・ザ・ハットリ
元同僚のエンジニア達に会っていろいろ話す機会があって、彼らと話すうちにエンジニアの技術力とプロジェクトのヒット率の悲しい相関性について言及するに至った。
人材の流動性が高いシンガポールのスタートアップで働いていると、同僚と仲良くなっても自分が転職したりその同僚が転職したりと人のネットワークが動的に変化していく。なのでたまに元同僚達に会うと共通の知り合い達の話をしてスタートアップ界隈の情報交換をする。で、それがまたやけに楽しい。
先日会ったのは元同僚のベトナム人エンジニアの K とスペイン人エンジニアの R。2人とも転職して今は私と同じ会社では働いていない。3人の共通の知り合いエンジニア達はざっと10人ほどいて、それぞれについて近況、と言うかただのうわさ話をしていた。それはざっとこんな感じだった。
- アメリカ人エンジニアの T は地元(シアトル)の友人の立ち上げた会社が巨額のバリュエーションを獲得して、その友人の誘いに乗ってシアトルに帰った。
- フランス人エンジニアの B は転職した先の事業がポシャって結局フランスに帰った。その会社は今はもう無い。B って技術力の高い奴だったのに運が悪かったねー、と。
- 香港人エンジニアの K が働いている会社の企画が当たったらしくて、そこはやけに羽振りがいい。K の給与がいくらなのかは知らないが、なぜか今 K は投資先の不動産を探していて、いつもコーディングが上の空らしい。
というような話を言って「あはは!」と3人で笑っていた。景気のいいシンガポールであってもその中の会社やプロジェクトをひとつひとつ取り出すと、全て景気がいい訳でもなく、当たりもあればハズレもあるのが実態。元同僚の近況を話したりして、しみじみと思うことがあってそれは
エンジニアの技術力とプロジェクトのヒット率には悲しいほどに相関が無い、ということ。
当たる企画にあるべき要素の中に技術力というのも一応は入っているだろう。でもそれはいくつかある中のひとつでしかない。決して十分条件ではない。技術力さえあれば企画が当たる訳では 決して無い 。そして往々にして当たった企画や会社に居た、そんなに技術力の無いエンジニアはそのラッキーさから目立つ。とにかく目立つ。
Google は会社の立ち上げ当初から人材採用に力を入れていて、社員数20人以下の時代から尖った優秀な技術者集団だった、とか。マイクロソフトは立ち上げ当初からとびきりのコンピュータオタクの集まりだった、とかの話がある。でもなんか会社がデカくなってから後付けでデキた話に感じる。確かに立ち上げ当初から優秀な技術者が居たのだろう。ただそれと同時に普通レベルの技術者もまぎれていたはず。「アタシって普通の技術者なんだけどラッキーなことに当時は小さな会社だったのが当たったわ。え?社名?ぐーぐるって言うんだけどね。あっはっは!」な人は必ず居る。
だって悲しい程に相関無いから。
そうは言っても技術者として飯を食っていくからには、技術力を常に高めていかなければ職は得られないし、ヘタしたらクビにもなる。この話は決してエンジニアにとって技術力が要らない、なんて話ではない。技術力は必要。ただ技術力があるからと言って必ず企画が当たるとは限らない、というだけの話。
How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント |
作者: エリック・シュミット,ジョナサン・ローゼンバーグ,アラン・イーグル,ラリー・ペイジ,土方奈美 |
出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 |
発売日: 2014/10/09 |
メディア: 単行本 |