ジャバ・ザ・ハットリ
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海外転職におけるエンジニア向けの英語の求人票から読み取る採用担当者の考え

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海外転職におけるエンジニア向けの求人票をしっかり読めばその採用担当者の意図が分かりますよ、という話。

どんなエンジニアでも海外で働いて、それなりの仕事をしていれば必ず採用業務も担うことになる。エンジニアの採用は人事ではなく、エンジニアが行うのが大企業でもスタートアップでも共通のこと。業務が拡大して人員が必要になったら、会社が募集かけて、あなたのメールボックスに次々に応募者の CV(履歴書)が送られてくるのだ。そこで選別して、技術面談して「これは!」という人にオファーを出す。言ってみれば単純なことだが、実際にやると上手くいかないことの方が多い。
どんなエンジニアでも、いいエンジニアと働きたい。ダメな人と言うか発展途上のエンジニアと一緒に働くとその人の尻拭いなどに振り回されて本当に苦労することがあるからだ。

で、そうやってなんとか「いい人を採ろう」と会社と一丸となって四苦八苦していると、求人票ひとつにしても見えてくるものがある。こういうのは私自身が転職する際にもまーまー役に立っていることだから、今もし海外転職をお考えの方にとっても参考になると思う。

まずはネットから掘り出した、以下の求人票。とあるシンガポールのイケイケスタートアップの求人募集票。先日、ここのエンジニアとランチを共にして彼は「早く人を入れたいのに、なかなかいい人が見つからない」と愚痴をこぼしていた。

Minimum qualifications:

  • Have BS/MS degree in Computer Science, Software Engineering or a related subjects.
  • Experience with Java, Ruby and Javascript, experience with Ruby on Rails or multithreading Java frameworks would be great.
  • Experience with MySQL, PostgreSQL, able to optimize the query to improve the performance.

Preferred qualifications

  • Experience with NoSQL database such as Elasticsearch, Redis.
  • Experience with large scale, distributed systems such as Mesos, Zookeeper.
  • Experience with DevOps tools like Chef and cloud services like AWS.
  • Experience with big data technologies such as Apache Spark and Hadoop.
  • Experience with CI tools like Travis CI.

この他にも Responsibility とかいろいろ書いてあった。

ひとつひとつ解説するとこうなる。

  • Have BS/MS degree in Computer Science, Software Engineering or a related subjects.

この学位に関する項目が最初にあるのはビザのことがあるから。ここの会社のエンジニアはほとんどが外国人(シンガポール人ではないという意味)。世界各国から集めてきたエンジニアでなり立つチーム。そういうチームの場合、シンガポールで働いてもらうためには労働許可が必要になる。どんなに優秀な人でその人にオファーを出しても労働許可が出なければ働いてもらうことができない。シンガポールでは学位があれば労働許可が出る。別に有名大学を出ている必要はない。だいたいこの国では誰も東大すら知らない。必要なのはこれから就いてもらう職(エンジニア職)と学部に関連性があって(工学部とか)、学位を持っているかどうか。ただそれだけ。そこさえ有ればだいたい労働許可は出る。

  • Experience with Java, Ruby and Javascript, experience with Ruby on Rails or multithreading Java frameworks would be great.

Java と Ruby と JavaScript ができて RoR や Java のフレームワークが分かっていること。この会社では3言語ができていれば Ok のよう。これが Minimum qualifications に入っていることから、Java はできるけど Ruby はイマイチというのはダメらしい。

  • Experience with MySQL, PostgreSQL, able to optimize the query to improve the performance.

リレーショナルデータベースが分かって、かつパフォーマンス・チューニングができること。この会社は旅行データベースのサービスを提供しているのでデータベース系は外せない主要項目となっている。

その他のあれば尚いいという項目
NoSQL、Elasticsearch、Redis、Mesos、Zookeeper、AWS、Apache Spark、Hadoop、CI tool

NoSQL とか Spark とかのビッグデータ系やらがあればいいなー、というのと AWS の知識があればプラスですよ、と。

わざわざ解説するまでもなく、書いてることそのまんまじゃねーか、と思われたかもしれないが、まーその通り。
ただランチを共にして「いい人こない」と愚痴をこぼしていた採用担当のエンジニアはこう言っていた。「そんなスーパーエンジニアじゃなくていいんだよ。必須項目を満たしてくれていればそれだけで Ok なんだ。普通にやって欲しいことを普通にできる人が居たら、すぐにでもオファー出すんだけどなー」と。

この気持ちは分かる。でもそのいくつかある必須項目を全員が満たせる訳ではないのが、世の常。

例えば Java と Ruby と JavaScript なんてプログラミング言語の「名前は」誰でも知っている。でもその3つが全て普通に使いこなせる人、となるとガクっと人数が減る。で、それに加えて「リレーショナルデータベースのパフォーマンス・チューニングもやって欲しい」となるとなかなかピッタリの人は見つからなかったりするのだ。

よく上記項目を満たしていない応募者が「御社に入ってから勉強します!」という話になってしまうけど、これはスタートアップではあまりやってない。リソースが無いなかで日々拡大していくスタートアップに人を入れる時に「勉強しますし、ちょっとマスターするまで待って」なんて余裕がないのだ。もっとはっきり言えば「これやって!という仕事がたくさんあるから分かってる奴が来てくれ!」となっている。

もちろんエントリーレベルに下げれば求められる技術の項目数が減る。例えば「Ruby が分かってる人、募集」みたいに。でもそういうエントリーレベルの職では日本人に労働許可が出せるレベルの給与提示が無い。項目が少ない求人の場合、オファーをもらってもだいたいは給与が低い。あまりに低い給与だと例えその応募者が「低賃金でも貧乏暮らしでも Ok だ」と言ったって政府が労働許可を出さないので入れないのだ。シンガポール政府の見解は「低い給与の職は自国民の職を奪ってまで外国人に与える必要はない。**ドル以上稼ぐ外国人なら、この国で働かせればメリットあるし Ok」となっている。どの国の政府も自国民以外には冷たい。

なので海外転職を成功させるには求人票にある必須黒目の5つぐらいの主要技術をまんべんなくマスターして、それにプラスして英語できるようにしておくこと、となる。主要技術をまんべんなくというのがキー。しかもザッと各国の求人票を見渡せば、そのどれもが手も足も出ないようなハイスペックではないことが分かる。そうなのだ。伸び盛りの IT 系の会社ではとにかく技術者に来て欲しいのだ。「この5項目の技術ができる人なら、人種、年齢、性的趣向は一切問わない!来てくれ!」状態がずっと続いている。

ということで結論は「主要技術+英語ができれば Ok」。

上記の例はあくまで一例なので Java と Ruby と JavaScript ができれば職がある、って訳ではないのでご注意を。そこはターゲットにしている国の求人票と自分の持っている技術とを照らしあわせてナニが主要項目に入るかを調査してください。

海外転職は日本の大きな会社名とか日本の有名大学の名前なんて要らないし、そういう肩書関係無しに純粋に「その人が持ってる技術」だけで勝負ができる。元々の技術力と多少の英語力があればちっとも難しくないのがエンジニアの海外転職だ。しかも英語圏のエンジニア職の給与は日本と比較すればかなり高待遇(米英なら年収年収約1000万円)。

この際だからハッキリ言うが日本で働いていたとして私レベルでは年収を2倍にすることなんて至難の業だ。というかほぼ不可能。日本の組織にある出世の階段をコツコツ登ってその先に2倍の年収があるかどうか、だがまーそんなに堪え性のない私には無理だろう。ところが働く場をそのまま海外にスライドさせるだけで「現在の2倍の年収」なんていともカンタンに実現できてしまう。もちろんそれ相応のリスクは伴うが、それらのリスクを取れるエンジニアならば挑戦しても損はなく、メリットがデカいのが海外転職だと感じている。
なので海外に挑戦しようとするエンジニアが居れば常に応援したい、と思ってこのブログも書いている。

エンジニアの転職のコツとか書いてる本

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作者: Gayle Laakmann McDowell
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