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「ニッポンはもうIT大国になれない」のか?
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- ジャバ・ザ・ハットリ
これ読んだ。
感想としては「いやいや日本は IT 大国になれるポテンシャルあるだろ。20年ぐらいかければ」だった。
なかなかブログの書き方とか面白くて参考になった。
100人のプログラマが2週間かかって出来ないことをスーパープログラマが2時間であっさり解決とか普通にある世界です。
これとか面白い書き方だけど、実際のところはホントにあるの?ってすごい疑問だ。どちらかと言うとスゲー会社のスゲー人をたくさん見てきた方だと思うが、そんな人達を思い浮かべて考えてみても「これは大げさスギね?」と思う。
でも全体の趣旨として同意する部分はいくつかあった。シンガポールのスタートアップで日本の IT 業界の習慣ゼロの環境に身を移して感じてたことと一致した。
このあたりだ。
外資系 IT はプログラムを書かせてくれる。日本の IT ベンダーは下請け・孫請けにやらせるので腕を振るう場所がない。あえて下請けに就職すれば書けますが・・立場も給料ももっと低いですよ?
外資系 IT はプログラマを尊重する。(社員に個室を与える、つまらない会議などを極力減らす) 常人よりウン万倍も生産性がある人にしょうもない経費精算作業とかさせるのはもったいないです。
このような外資系もしくは海外の IT 会社の話はブログなんかでもよく見かける。で、この手の話は全て本当だ。競争の激しいシンガポールのスタートアップ界隈でも、このエンジニアに余計なことさせないでガンガン効率のいいコード書かせる(丁寧に言えば「書ける環境を作る」)が徹底されている。
これをもし日本に居た時にそのまま聞いたら「エンジニアにとっては幸せな環境だなー」とのんきに思っただろう。確かにそうだが、その環境にはそれ相応の対価があることに気が付いたのはシンガポールに来た後だった。
それは
- これだけコード書くための環境整えてやってんだから、マシなもんを作れなかったらクビな
- 言われたことそのままコードに落とし込むだけだったら、ここでそんな給料おめーに払う意味無いの。分かってるよな?
- 経歴とか資格とか聞いてないし。成果が出なかったら、、、また同じこと言うけどクビな
とかになる。
少なくとも私は日本に居る時にはそれまで一緒に働いていた職場の同僚が突然に「クビになった」と言ってオフィスから出て行くような場面に遭遇したことは1回も無かった。そんなの映画でしか観たことなかった。でもこっちに来てなんど観たことか。
人間というのはこういう「ヒリヒリした状況ではあるが待遇はそれなりにいい」という環境の方が成長できる。おかげで本来ナマケモノだった私がシンガポールに来てかなり勉強熱心になったのだし。「あーこういう労働環境もアリかもね」と視野が広くなった。
つまりここでイメージされている「エンジニアにとって幸せな外資系 IT の環境」を日本でも実現するにはそれなりに受け入れなければならない側面がある。個人個人で言えば対処できる人がたくさん居るだろう。だが日本全体の労働環境がこの事態に対する準備ができてはいない。だいたいプロジェクトの切れ目に特に問題の無いエンジニアをスパっとクビにして、そんな人をまたスグに受け入れてくれる日本の社会はあまり無い。さんざん「ナニがあったの?」と本人の技術以外のことを詮索されまくるはずだ。
いつかは変わると思う。どう考えてもこちらの方が経済的に効率がいいからだ。市場に委ねれば非効率な会社は淘汰されて、いきのいい会社が出てくるのが当たり前のことだし。20年かければ変わる。世代交代が完了すれば変わる。