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みんなにお勧めしたいけど、特定の人達にしかオススメできない本『火星の人』(映画【オデッセイ】の原作)
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- ジャバ・ザ・ハットリ
『火星の人』は最初いろんなうわさを耳にしただけだった。
うわさとは
- 著者のアンディ・ウィアー氏はプログラマー
- 最初は著者のウェブサイトに掲載していた無料の連載小説だった
- とっても人気が出て低価格でアマゾンのキンドル版で出版してみた
- するとたった3ヶ月で3万ダウンロード突破して売上トップになった
- どんどん人気が加速して、マット・デイモン主演で映画化された
という具合だ。著者の経歴にちょっとした親近感と本が売れた経緯に「すげーな」と感じただけだった。で、なにげにお試し版をダウンロードしたらハマった。本を読んだだけで、映画はまだ観てない。
あらすじは有人火星探査のミッションを受けた主人公が火星を探索している際に事故にあって砂嵐のなかへと姿を消す。仲間には死んでしまったと思われたが、奇跡的に生きていた。でもその時、火星には主人公たったひとり。火星に残された機材を使ってなんとか生き延びようとする話。
簡単に言えばロビンソン・クルーソーの火星版。でも場所は火星であることから、全ての生き延びる術が科学なのだ。例えば
- 連絡がついたとして地球人に会えるまで4年。人間が1日に必要な最低カロリーから4年分の必要量を出して、残っている食料からいくら足りないか?
- 足りない食料(=カロリー)を何で補うか?(答え:主人公は火星でジャガイモを育てる!)
- 水が足りない。酸素と水素から水を作る。H2O だから。でもどうやって?
- 二酸化炭素を分解して酸素を作るには?
- 宇宙服の中の二酸化炭素が増えた、それを感知した宇宙服は次にどう動作する設計になっているか?
- 地球の土に含まれるバクテリアが火星の土にはまったくない。それでは植物が育たない。どうやって地球と同程度のバクテリアを培養すればいいのか?(答え:自分のクソを撒く)
- RTG(放射性同位体熱電気転換器)は暖房になるか?
これらを科学者である主人公があの手この手で解決していくのだ。笑えるし泣けるし、科学実験がこんなに心を打つとは思わなかった。こんな話を次々にされてたら、めちゃくちゃにハマるか、まったく意味不明で「?」となるかのどちらかだろう。もしこれを読もうとする人が以下のひとつもあてはまらなければ購入は控えた方がよさげ。
- 科学好き
- 理系
- テクノロジー好き
- 宇宙好き
- イーロン・マスクを尊敬している
ちなみに私は上記の全てに相当するかもしれない。おもいっきり「火星の人」のターゲット読者だったと思う。
ちなみに最初にダウンロードしたのは日本語版だった。宇宙用語を英語で書かれても、きっとよく分からないだろうし「この本は日本語で読もう」と決めていた。そう決めていたのだ。ただ一応ちょっと英語のお試し版をダウンロードして最初の章だけ読もう、と思った。で読んだら最初の3行で気に入って、その後は英語版を読むことにしてしまった。
英語版の最初の3行は
I'm pretty much fucked. That's my considered opinion. Fucked.
必ず1ページに1箇所はプッと笑える文章が挟んである。著書のアンディ・ウィアー氏のユーモアのセンスがとても好きだ。
火星の人 |
作者: アンディウィアー |
出版社/メーカー: 早川書房 |
発売日: 2014/09/30 |
メディア: Kindle 版 |
The Martian: A Novel |
作者: Andy Weir |
出版社/メーカー: Broadway Books |
発売日: 2014/02/11 |
メディア: Kindle 版 |
正直この「火星の人」にどハマりして、パズルシリーズのコードを一切書いていない。そろそろ再開しよ。アンディ・ウィアー氏のようなセンスのユーモアがパズルシリーズに入れられたらいいな、と考えたり。