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英語圏をマーケットにした会社におけるプロジェクトマネージャーの仕事像
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- ジャバ・ザ・ハットリ
今日はある案件でちょっとした問題があって、同僚のインド人プロジェクトマネージャー(女)の W と1日中ずっと会議室の中で仕事をやり続けることになった。W の今日の仕事内容がそのまま英語圏をマーケットにした会社におけるプロジェクトマネージャーの仕事像になると思ったので、書く。
W の1日
朝、私のところに来て「○○ の問題があって技術者と一緒にいくつかの要件を処理する必要がある。これは緊急だから今の仕事を一旦止めて、会議室に一緒に来てテレビ会議に出て欲しい」ときた。
最初のテレビ会議はロンドンに居るこのプロジェクトの共同経営者であるイギリス人経営者 A に問題の説明とその後の対処方法を説明する。タフなテレビ会議だった。相手は経営者で、問題に対する影響とその意識がサラリーマンとは違う。イギリス時間の夜中なのにも関わらず、えらく興奮した A が「おい、どれどーしてくれんだよ!」となってきていた。が、W は冷静に「いいですか?まずこれとこれを再優先に解決します。方法はこれ。次に。。。」と処理していく。技術的なところを私に話をふられたが、もう W とは話ぶりの迫力が違う。
そのテレビ会議が終わって、次は問題の根本を作り出したベトナムの iOS エンジニアのJとまたテレビ会議。
Jはこの少し前からバグの内容は把握しており、既にデバッグに着手していた。で、W が「どのぐらいでできそう?」と聞いてそのJの答えがかなり悠長な答えだった。そこで W から質問攻め。時々私も参戦したが基本は W の脅迫めいた話が8割、残りの2割が私の技術関連の話。最終的にはJもこちらの要求を飲んだ。というか飲まざるを得なかったという感じ。
次に W は私にサーバーやインフラまわりの増強とそのスケジュールを私と組む。
次に南アフリカのセールス部隊に「ロンドンの A が吠えてるから、なんとかしろ!」とまたテレビ会議。私はその間にサーバーまわりのインフラを整備。
W が自社のアメリカ人ボスに内容の説明をして、今から A とのテレビ会議で A が吠えたらボスも援護射撃をするように頼んでおく。
W、ボス、私とロンドンの A とまたテレビ会議。経過報告と前回 A が提案してきたアイデアは技術的にも使えないので、代案を説明する。A も自分のアイデアが「使えない」と言われてムっとしていたが、W の論理的な説得で了解する。ボスの援護射撃はほぼ無かった。
社内のブラジル人デザイナーの B に今回の変更点に伴うデザインが1週間後には必要になるので、今から原案を考えておくように指示。
インフラの整備が完成したので、ログを取って、それを A にメール。
ニュージーランド人の弁護士 B が「ちょっと ○○ の件で」とまで言ったところで「今それどこじゃねー!明日にしろ!」といって追い出す。
というようなことをずっと1日中やっていた。
元々社内メンバーの国籍は全て異なる環境なのだが、W は客や別の会社にまでテレビ電話して、しかもそこの人達の人種国籍までもが全て異なっていた。共通するのは英語で話すことだけ。その英語にしたって訛りやアクセントが全員まったく違う。それぞれの個性や文化がまったく異なる人達をうまくまとめて、問題を対処していくのが彼女の仕事だ。彼女はこんなことをほぼ毎日、同じ調子でやっている。ほんとタフな女だ。
プロジェクトマネージャーというかっこいい仕事に憧れる部分もあるが、彼女を見ているととてもじゃないが「オレにはできねー」と感じた。
どんな人種とでも渡り合えるぜ!と自信をお持ちの方は、英語圏のプロジェクトマネージャー職でがんばってみてください。
あくまで私の主観でしかないが、日本人が海外転職するならエンジニア職の方がはるかに有利だと思う。
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