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シンガポールに転職する際に給与面を気にしても意味が無い理由
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- ジャバ・ザ・ハットリ
今の会社に入る前、転職活動している時に給与に関してはほとんど考慮しなかった。「おカネなんて関係なくいい仕事だけ求めてます」と、エエかっこした話ではない。外国人がシンガポールで働くには、給与面を気にしたところでどうにもならない事情があるからだ。その理由を書く。
(以下に書いた内容は日系企業のことではない。シンガポールにも日系の会社がたくさんあり、そこで駐在や直接採用で働いている方がいるが、ここに書いたような内容はおそらく当てはまらない。あくまでアメリカ系の IT 会社に関するもの)
シンガポールに転職する際に給与面を気にしても意味が無い理由
まず流動性が高い人材市場ではそれぞれの技術とその技術レベルにある程度の値段がついてしまっている。人が出たり入ったりする環境では「この技術をこれぐらいのレベルで実装してくれる人には ○○ ドルだな」というのが決まっている。
日本の SE のような、なんでも屋さんは居ない。スタートアップであれば「なんでもやれ」の要素が高まってくるが、それでも日本の SE とはまったく異なる。
さらに勤続何年だから給与が上がっていって、とかいう年功序列的概念もほとんどない。できなければ何年経っても同じ給与。この辺は非常に明快。
なのでシンガポールの技術職に関しては大企業でもスタートアップでも給与の振れ幅が非常に狭い。どんなにアピールして「ワタシできます!」とやっても倍額とかにはならない。それにできもしないことを「ワタシできます!」で入ってきた人で実はできなかった時に2ヶ月でクビになってしまったなんてことが普通にある。日本では雇用が極度に守られているのでこの感覚は持ち難いが、海外では普通に「できなければクビ」があると意識しておいた方がいい。
転職活動の際にやることは単純、できることだけを若干誇張してアピールすること。全部を誇張して「なんでもできる」はダメ。誇張の範囲を「できること」に絞って行うのがポイント。
給料の件に話を戻す。
シンガポールで外国人として働くにはビザが必要。ビザがなければ家族も含めてシンガポールに滞在できない。したがってビザ取得が必須条件となる。ビザは最低給与の約5000ドルが月の固定給(ボーナス除く)になければ発行されない。5000ドルは日本円にするとだいたい月給45万円ぐらい。
もし今日本で働いてシンガポールへの転職を考えてる人で現給与が45万円以下でも気にする必要はない。前述のようにその人の技術に値段がつくのであって、今の給与は参考程度にしかならないからだ。多国籍な職場であれば世界各国から求人応募に来る人にいちいち「前職の現地通貨での給与がいくらだったから。。。」とかやってられない。
たまーに激務で激安給与のスタートアップがあるが、そういうところに行ってもそもそも給与制限でビザが下りないので働けない。だからシンガポールでは激安で働かされる日本人というのは居ない。不可能だからだ。
約5000ドルというのは人によってはそれ以下でもビザが出ることもあり、また逆に5000ドルあってもビザが出ないこともある。もし家族と共にシンガポール移住を兼ねた転職をお考えならば5000ドルぎりぎりではなくもう少し上の給与を確保されることをお勧めする。
つまり給与を気にしてもしょうがないのは下はビザの取得制限で決まっている、上はあがいてもその技術に値段がついている、という身も蓋もない理屈から。
そこに労力かけるの無意味ですよ、と。本当にシンガポール転職を成功させたいのなら、もっと他に注力すべきことがある。それに関してはまた別エントリーにて記載する予定。
こんなエントリーを書いたのも雑誌で「いま転職するなら、海外か、国内か?」なんて特集が組まれていたから。こんな特集組んだ雑誌が売れるのだろうか?実感としては海外転職がマジョリティーにはならないと思っている。
それでもどこかでシンガポール転職をお考えの人が居て、その参考になればと思って書いた。
技術のある方ならご想像よりもハードルが低いのが海外転職。ホントです。